インナーチャイルドを癒すと、日常はどう変わるのか

インナーチャイルドを癒すというと、「昔のつらかった出来事を思い出して、泣いて終わるもの」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
でも、本当の変化は、過去を振り返っている時間だけに起こるものではありません。
癒しが進み始めると、少しずつ日常の中で、「今までと同じ出来事なのに、感じ方が違う」という瞬間が増えていきます。
環境が急にすべて変わるわけではありません。
周囲の人が、突然別人になるわけでもありません。
それでも、自分の内側にあった緊張や怖れがゆるんでくると、少しずつ世界の見え方が変わります。
人の言葉を、必要以上に悪く受け取らなくなる。
ちょっとした出来事に、以前ほど強く反応しなくなる。
誰かの機嫌を、すべて自分の責任だと思わなくなる。
自分の気持ちや身体の感覚を、後回しにしなくなる。
そして、少しずつ、「私は、私のままでいても大丈夫」という安心感が育っていきます。
私自身に起きた変化
私自身も、インナーチャイルドと深く向き合ったあと、不思議なくらい日常の見え方が変わった時期がありました。
視界がすっきりとクリアになったように感じました。

外出した時に関わるお店の方や、ほんの一瞬すれ違う人たちまで、以前よりもやさしく感じられるようになりました。
もちろん、急に世の中のすべての人が変わったわけではありません。
でも、自分の中にあった警戒心や緊張が少しゆるんだことで、今まで受け取れなかった人のやさしさを、自然に受け取れるようになったのだと思います。
そして、自分自身も、無理をして愛想よく振る舞うのではなく、自然に笑顔で人と接することができるようになりました。
世界が、キラキラして見えるような感覚でした。
それと同時に、「今まで諦めずに頑張って生きてきてくれた、小さい頃の自分」への感謝があふれてきました。
ずっと我慢していた。
ずっと耐えていた。
本当は嫌だったのに、嫌だと言えなかった。
怖かったのに、平気なふりをしていた。
そんな小さい自分に、「今まで本当に頑張ってくれてありがとう」と思うと、自然に涙が出てきました。
これは、悲しいだけの涙ではありません。
ようやく自分自身に分かってもらえた、
安心の涙でもありました。
子どもとの関わり方にも変化が起こる
インナーチャイルドの癒しは、親子関係にも表れます。
ある時、娘が食事中に、口に入れていたものを急に出したことがありました。
最初は、私もつい叱ってしまいました。
でも、なぜか心に引っかかるものがありました。
そのあとで、私は気づきました。
私自身も小さい頃、食べたくないものを無理に食べるように言われた経験がありました。
外食が嫌でも連れて行かれたり、苦手な食べ物を無理に食べるよう求められたりしたことがありました。
あの時の小さい私は、嫌だと言っても、分かってもらえない。食べられない私が悪い。
相手を困らせないために、我慢しなければいけない。そんなふうに思っていたのだと思います。
そこで、娘に伝えました。
「骨があって、出したかったよね。怒ってごめんね。今度から、食べられないものは出していいよ」
すると娘は、笑顔で、
「大丈夫よ。今度は出していいって言ってね。○○ちゃんも、出したいって言うね」と言って、私をよしよししてくれました。
その時、娘に謝っているはずなのに、私自身の中にいた小さい頃の自分まで、やさしく抱きしめてもらったような気持ちになりました。
あの頃の私は、本当は、
食べられないなら、無理しなくていいよ。
嫌だったよね。
あなたが悪いわけじゃないよ。
と言ってほしかったのだと思います。
娘への言葉が、そのまま小さい頃の自分にも届いた瞬間でした。
癒しが進むと、怒らなくなるのではなく、怒りの意味が分かるようになる

インナーチャイルドを癒したからといって、まったくイライラしなくなるわけではありません。
疲れている時。眠い時。
何度も同じことを言わなければいけない時。
自分の限界を越えた時。
人間なので、当然イライラすることはあります。
でも、癒しが進むと、「なぜ、こんなに腹が立つのだろう」と、自分の反応を少しずつ見つめられるようになります。
たとえば私自身、娘に朝方起こされて、眠いのに腕をさわさわと触られ続けた時、とても強い怒りが出たことがありました。
もちろん、単純に寝不足だから腹が立ったという面もあります。
ただ、そこには、もっと深い理由もありました。
過去に、眠いと言っても休ませてもらえなかった経験。
相手が納得するまで、長時間話に付き合わなければならなかった経験。
小さい頃から、母のカウンセラーのような役割を担っていた経験。
こうしたことが重なって、自分の中に、
相手が不安定な時は、私が支えなければならない。
私の疲れや限界より、相手の気持ちを優先しなければならない。
相手を優先しないと、嫌われるのではないか。
という思い込みが残っていたのだと思います。
娘は、ただ鼻が詰まって不安で、安心したかっただけです。
でも、私の内側では、「また、私が自分を犠牲にしなければならないの?」という過去の痛みが刺激されていました。
ここに気づくと、ただ自分を責めるのではなく、小さい自分に言葉をかけることができます。
私は、ずっと我慢してきたから腹が立ったんだ。
本当は、私も守ってほしかったんだ。
私は、相手の感情を全部背負わなくていい。
インナーチャイルドを癒すことで起こりやすい変化
インナーチャイルドの癒しが進むと、少しずつ日常の中に変化が現れます。
最初に起こりやすいのは、「自分の反応に気づくのが早くなる」という変化です。
以前なら、怒りや不安に完全に飲み込まれていた場面でも、「今、私は過去の痛みから反応しているかもしれない」と気づけるようになります。
次に、「感情から戻るのが早くなる」という変化が起こります。
怒らない人になるのではありません。
不安にならない人になるのでもありません。
怒っても戻れる。
落ち込んでも、自分で自分を立て直せる。
相手にぶつけたあとでも、謝り、関係を修復できる。
これが、とても大きな変化です。
インナーチャイルドの癒しが進むと、こんな変化が少しずつ起こります。
・自分の反応に、以前より早く気づけるようになる
・怒りや不安から、少しずつ戻りやすくなる
・嫌なことを、嫌だと言えるようになる
・無理なことを、無理だと認められるようになる
・相手が不機嫌でも、自分まで責任を背負わなくなる
・誰かの期待に応えるために、自分の心や身体を差し出し続けなくなる
・人のやさしさを、自然に受け取れるようになる
そして、人との関係も少しずつ変わっていきます。
人に過度に警戒しなくなる。
誰かの言葉を、すべて否定として受け取らなくなる。
店員さんの何気ない親切にも気づけるようになる。
こちらも、無理をせず自然に笑顔になれる。
同じ世界に生きているのに、
以前よりもやさしい場所にいるように感じることがあります。
癒すということは、過去を忘れることではありません
インナーチャイルドを癒すということは、つらかった過去を無理に許すことでも、なかったことにすることでも、いつも穏やかでいられる完璧な人になることでもありません。
本当の癒しは、小さい頃の自分の声を、今の自分が受け止めることです。
あの時、本当は嫌だった。
あの時、怖かった。
あの時、分かってほしかった。
私は、もっと大事にされてよかった。
そして、今の日常の中で、昔とは違う選択を少しずつしていくことです。
嫌なものは、嫌と言う。
疲れた時は、休む。
誰かの感情を、全部引き受けない。
子どもにも、自分にも、「無理しなくていいよ」と言ってあげる。
怒ってしまった時には、戻って謝る。
完璧ではなくても、何度でも関係を修復する。
その積み重ねによって、小さい頃の自分は少しずつ、
「もう、あの頃とは違う」
「今は、私の味方になってくれる大人がいる」
と感じられるようになります。
その大人とは、今の自分自身です。

自分の心に、少しずつ問いかけていく
インナーチャイルドの癒しは、特別な人だけができるものではありません。
小さい頃の自分に、少しずつ問いかけていきます。
本当は、どう感じていたの?
何が嫌だった?
何を分かってほしかった?
本当は、どうしてほしかった?
そして、出てきた気持ちに、今の自分から言葉を届けていきます。
もう我慢しなくていいよ。
あなたが悪かったわけではないよ。
今度は私が、あなたの味方でいるよ。
その繰り返しによって、少しずつ日常の見え方が変わっていきます。
私自身も、まだ出てくる感情が完全になくなったわけではありません。
それでも、以前より早く気づけるようになった。
自分を責め続けなくなった。
子どもとの関係を、昔とは違う形に修復できるようになった。
人のやさしさを、受け取れるようになった。
小さい頃の自分に、心から感謝できるようになった。
これは、とても大きな変化だと感じています。
最後に
癒しとは、傷ついた自分を消すことではありません。
ずっと置き去りにしてきた小さい自分を、今の自分が迎えに行くことです。
「今まで、諦めずに生きてきてくれてありがとう」
そう伝えられた時、少しずつ世界の見え方が変わり始めます。

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